プラチナと金の価値の違いと今後の動向について紹介
- 金とプラチナの価値の違いについて
- 『資産価値』が高いのは金
- 『希少価値』が高いのはプラチナ
- 金の価値に影響を与える要因となるもの
- 需要・供給
- 経済・金融
- 地政学的リスク
- 政策金利
- 米ドルの価値
- プラチナの価値に影響を与える要因となるもの
- 各産業によるプラチナ需要
- 南アフリカの経済状況
- パラジウムの代替としての需要
- 脱炭素の動向
- プラチナの価値は今後どうなるか
- プラチナの価値がなくなる可能性
- 買うなら金とプラチナどっち?
- まとめ
プラチナはアクセサリーやジュエリーなどに使用されることが多いだけではなく、将来的な資産として自宅に保管している方もいるでしょう。
最近は金の高騰がよくニュースになっていますが、プラチナも買取価格が高騰している貴金属の1つです。
金もプラチナも価格が高騰していますが、将来的な資産として価値があるのはどちらでしょうか。
この記事では、金とプラチナの価値の違いや価格に影響を与える要因、今後の価格予想について紹介します。
将来的な資産として金やプラチナの購入を検討している方、自宅に眠っているプラチナなどの貴金属の買取を依頼したい方はぜひ最後までご覧ください。
金とプラチナの価値の違いについて
金もプラチナも価値が高い貴金属として知られていますが、金とプラチナでは「価値が高い」の意味が少し異なります。
まずは、金とプラチナの価値の違いについて知っておきましょう。
『資産価値』が高いのは金
投資など資産価値が高いのは金です。
2024年7月現在、金の買取価格は1万円を超えていますが、プラチナの買取価格は5,000円程度です。
ここからも、資産価値が高いのはプラチナよりも金であることが分かるでしょう。
金は貨幣が流通する前から価値があるものとして認識されており、貨幣の替わりに使用されていた時代もありました。
金の資産価値が高いことは世界共通であり、インフレや戦争などの有事の際にも価値が下がりにくいため、投資需要も高いです。
『希少価値』が高いのはプラチナ
埋蔵量が金よりも少なく産出国も限られているため、希少価値が高いのはプラチナです。
年間の採掘量はプラチナが200t、金が3,000tで金はプラチナの15倍となっています。
また、最近の研究により、既に採掘されているものを含めてもプラチナは地球上に1.6万tしかないといわれています。
金の総重量は20万t以上ともいわれており、プラチナの希少価値が高いことが分かるでしょう。
日本でプラチナといえば指輪やネックレスなどの宝飾品としてのイメージが強いかもしれませんが、世界的には工業用の需要の方が多い傾向にあります。
金の価値に影響を与える要因となるもの
金やプラチナなどの貴金属の価格は日々変動しており、その価値はさまざまな要因が影響しています。
まずは、特に金の価格に影響を与えている5つの要因について紹介します。
需要・供給
需要・供給は金やプラチナに限らず、ものの価値に影響を与える要因の1つです。
需要とはその商品を買いたい人の数で、供給とは売られている数です。
価格は以下のように需要・供給の影響を受けます。
- 需要が増えて供給が減る⇒価値が上がる
- 需要が減って供給が増える⇒価値が下がる
金の方がプラチナよりも埋蔵量は多いですが、どちらも地球上の埋蔵量に限りがあるため今後市場への供給量は減っていくと考えられます。
供給量が減っていくにもかかわらず、今後も金には資産価値があるため、需要が急に減る可能性は低いでしょう。
経済・金融
世界恐慌やリーマンショックなど世界的な経済危機は、金の価値に影響を与えます。
世界的な経済危機が起こると貨幣の価値が下がる傾向にあり、価格の変動が少なく安定した資産である金などの貴金属を保有する動きが広がります。
その結果、需要(欲しい人)の増加に対して供給(市場の流通量)は急に増やすことはできず、減少するため価格が上昇する場合が多いです。
一方で、経済不安や金融不安が改善されると貨幣の価値が安定し、金の需要が落ち着くため価格上昇が落ち着いたり下落したりします。
地政学的リスク
地政学的リスクが上がると、資産保持のために金の需要が増えるため価格も上昇します。
地政学的リスクとは、紛争の発生・大手企業の倒産・国の財政破綻など特定の地域や世界状況が不安定または不透明になる状態です。
実際に2022年のウクライナ情勢の影響で、金の価格は上昇しました。
逆に地政学的リスクが下がると金の需要が落ち着くため、金の価格上昇が落ち着いたり下落したりする傾向にあります。
政策金利
各国の中央銀行が行う政策金利の設定も金の価格に影響を与えます。
政策金利とは、景気や物価の安定などの金融政策の目的達成のため、中央銀行が設定する短期金利(誘導目的金利)のことです。
政策金利が低く設定されると、企業や個人への金利も低くなり市場の貨幣流通量が増加しやすくなります。
一方で、政策金利が高く設定されると、企業や個人の金利も高くなり市場の貨幣流通量が減少しやすいです。
基本的に市場への貨幣流通量が増加すると貨幣の価値が下がり金の価値が上がる傾向にあります。
米ドルの価値
米ドルはアメリカ合衆国で使用されている通貨ですが、米ドルの価値変動は金の価値にも直接影響がでやすいです。
アメリカは経済大国であり世界経済に大きな影響を与えるだけではなく、国際的な金の取り引きでは米ドルが基準です。
そのため、米ドルと金の価格は逆相関関係にあるとされています。
米ドルの価値が上がると金の価値が下がり、米ドルの価値が下がると金の価値が上がる傾向にあります。
プラチナの価値に影響を与える要因となるもの
プラチナの価格に影響を与える要因は一部金の価格に影響を与える要因と重なっている部分もあります。
しかし、プラチナだからこその要因もあるため、ここからは特にプラチナの価値に影響を与える要因となるものを4つ紹介します。
各産業によるプラチナ需要
日本ではアクセサリーや宝飾品としてのイメージが強いかもしれませんが、実際には工業需要などの各産業によるプラチナの需要が大きく価格に影響を受けます。
プラチナは工業分野のなかでも自動車や燃料電池関連技術の触媒としての需要が特に高く、工業製品の製造が安定しているとプラチナの需要が高まるため、価格も上昇します。
最近であれば、新型コロナウイルスの感染拡大でさまざまな場面で経済活動が停滞しました。
その時には工業分野も停滞や生産数の減少したことで、プラチナの需要が減り価格も大幅に下落しました。
しかし、現在は新型コロナウイルスの感染拡大も収まり、工業分野の生産数も回復したことでプラチナの価格も上昇しています。
南アフリカの経済状況
プラチナのおもな産出国である南アフリカの経済状況はそのまま、プラチナの価格にも影響を与えます。
プラチナの産出国は限られており、産出国と世界シェアは以下のとおりです。
- 南アフリカ:71.5%
- ロシア:11.5%
- ジンバブエ:9.8%
- カナダ:3.1%
- アメリカ:2.4%
過去にはロシアの金融危機や南アフリカの財政・採掘状況に影響を受け、プラチナの供給量が減り、価格が高騰しました。
パラジウムの代替としての需要
工業分野におけるパラジウムの高騰が原因で、プラチナが代替品として使用されたことによる需要の高まりです。
もともと、自動車産業に使用する貴金属の1つがパラジウムでした。
ガソリン車の排気ガス浄化触媒にパラジウムが使用されていましたが、価格の高騰により代替品としてプラチナを使用する動きがあります。
そのため、供給量は今までと同様にもかかわらず、プラチナの需要が高まり、価格上昇につながっています。
脱炭素の動向
現在世界は脱炭素化に向けた動きが進んでおり、燃料電池車や水素生成装置などにプラチナが使われるため、需要が上がっています。
脱炭素とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を0にすることであり、日本政府は2050年までに脱炭素社会を目指すと宣言しています。
世界的にも脱炭素の動きが進んでいるため、今後どんどんプラチナの需要が高まるでしょう。
プラチナの価値は今後どうなるか
現在価格が上昇しているプラチナですが、ここで気になるのは「プラチナの価格は今後どうなるのか」でしょう。
工業分野での需要や脱炭素に向けた世界的な動きなどを考えると、今後もプラチナの需要は高いと考えられます。
そしてプラチナの埋蔵量には限りがあるため、価格もしばらくは上昇していく可能性が高いです。
しかし、今後プラチナに代わるより安価な新素材が現れれば需要は下がり、価格上昇も止まることが予想されます。
プラチナの価格には、需要と供給だけではなく経済状況なども関わっているため、正確な予想は困難です。
プラチナの価格下落が不安なのであれば、少しでも相場が上がったタイミングを見計らって売却してしまうのも1つの手でしょう。
プラチナの価値がなくなる可能性
プラチナの価値がなくなってしまう可能性は殆どありません。
株式などのいわゆるペーパー資産は、発行元の業績悪化や倒産で資産価値を失う可能性があります。
しかし、プラチナはペーパー資産ではなく実物資産です。
実物がある限り、価値がゼロになることはほぼ考えられません。
仮に、工業分野においてプラチナに代わる新素材が見つかり、現在の需要がすべて新素材に移ったとしてもアクセサリーや宝飾品としての用途があります。
以前は金よりも価格が高かった点などを踏まえ、現在よりも価格が下がってしまう可能性は十分にありますが、価値がなくなることはないでしょう。
買うなら金とプラチナどっち?
今から金やプラチナなどの実物資産を持ちたい方にとって気になるのは、「今買うなら金やプラチナのどっちか」でしょう。
これは、資産運用のスタイルなどによって変わるため、一概にどちらが良いとはいえません。
金は資産価値が高く、安全資産ともよばれています。
そのため、長期的運用を前提として、リスクをできるだけ抑えた資産運用がしたい方には金は向いています。
しかし、現在金は価格が高騰しており、今後も高騰すると予想はされていますが、いつ下落するかは分かりません。
価格が高い時に金を購入すると高値づかみになるリスクはあります。
一方でプラチナは希少価値が高く、景気などの動向を受けやすい投資商品といわれています。
そのため、短期的運用で大きなリターンを得たい方にはプラチナが向いているでしょう。
ただ、大きなリターンを得られる可能性がある分、リスクも大きいため慎重な運用が必要です。
価格の変動幅が大きいプラチナを購入する際にできるだけリスクを減らしたい場合、ドルコスト平均法による購入がおすすめです。
ドルコスト平均法とは、価格に関係なく常に一定量の購入を続ける投資方法となっています。
価格が低い時は多く、高い時は少なく購入し全体の平均購入単価を平準化させることで、長期的な資産形成を行う際に有効な方法の1つです。
まとめ
金もプラチナも価値が高い貴金属として知られていますが、資産価値が高いのが金で希少価値が高いのがプラチナです。
金の価格に影響を与える要因は、地政学的リスクや政策金利、米ドルの価値などです。
一方でプラチナの価格に影響を与える要因は、各産業によるプラチナ需要や南アフリカの経済状況、脱炭素の動向などとなっています。
プラチナの需要は今後も高いと考えられるため、価格も上昇していく可能性が高いです。
しかし、今後プラチナに代わるより安価な素材が現れれば需要は下がり、価格上昇も止まることもあるかもしれません。
ただ、プラチナの価値がなくなることは殆どないため、プラチナでの資産形成を考えている方は購入方法などを考えてみましょう。
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